ソーシャルビジネス支援

丸和育志会の考える
ソーシャルビジネス

新しい資本主義の地平を目指して

ソーシャルビジネスが、活性化した社会を取り戻す

ソーシャルビジネスとは、社会課題をビジネスの手法を用いて解決するということが一般的な解釈となっています。しかし、そのコンセンサスは未だ十分とは言えず、社会課題の定義も明確とは言えません。

提唱者のバングラデシュのムハマド・ユヌスがノーベル賞を受賞したことと、行政関連部署などからの情報発信により、ソーシャルビジネスとは「弱者救済」「地方の活性化」「SDGs関連」ビジネスといったイメージが浸透しつつあるようです。

一方、12年前にスタートした丸和育志会のソーシャルビジネス支援事業は、長く続く日本の長期低落傾向を押し止め、閉塞状況を脱して活性化した社会を取り戻したいという思いから始めたものでした。

したがって狭義の社会課題に限定せず、社会に役立つ新しい事業に挑戦するさまざまな起業家、事業家を支援してきました。

資本主義がもたらす社会貢献と問題点

営利法人は資本主義発展の原動力であり、現代も大きな影響力を持っています。

そこでは営利事業で得た利益に応じて税金を納付し、税引き後の利益の分配権は株主が持つという仕組みが導入されました。

営利法人の事業は、人々の生活レベルを向上させ、利益増は納付する税金増となって社会に貢献し、株主にも税引後利益の分配増となって投資意欲を刺激しました。

経済が拡大を続けた結果、営利法人は社会的意義ある存在として広く認知され、「企業の目的は利潤追求」というメッセージは正しいものとして世界中に浸透しました。

ところが20世紀後半以降はその仕組みに加え、会社は株主のものという認識が広まったことも相まって「強欲資本主義」と「超格差社会」が生まれ、大きな議論となっています。

不正行為が生まれやすい構造

営利企業が持つ、もう1つの大きな問題は「利益至上主義がもたらす不正行為」です。

「もっと多くの利益を」という経営者の強いプレッシャー化にある組織では、利益増に都合の悪い事実の隠蔽や計画的な不正行為が発生しがちです。

具体的には、定められた安全検査ルールを遵守せず、品質データを改ざんしていた自動車メーカー、コロナワクチン接種作業を実施しなかったにも関わらず作業料を請求していた旅行代理店、車を故意に傷つけ、その保険金を受領していた中古車販売会社などが記憶に新しいところです。

ルール遵守の徹底だけでは、これらに対する防止対策が不十分であることは明らかです。

事業そのものが社会貢献となる「新しい資本主義」

これらを考えると、税金納付による社会貢献ではなく、「事業そのものが社会に貢献すること」が必須となるのではないでしょうか。

多くの営利法人のホームページを見ると、利益額やそれに応じた納付税金額の大きさではなく、自社の事業と存在が社会に役立つことを訴求しています。

今や企業の目的は、「利潤追求から、各企業が考える社会貢献」に変わりつつあると言っても過言ではありません。事業そのものの社会的価値を明確に表明し、不正行為は決してせず、かつ正当な利益確保により持続的成長を目指す営利法人は、明らかに社会に貢献しています。

それらの営利法人に学校法人、医療法人、福祉法人、NPO法人などの非営利法人を加えた事業活動は、21世紀に最もふさわしいソーシャルビジネスです。

社会貢献や社会に役立つという目的を共有したソーシャルビジネスネットワークが、現代の重要コンセプト、コ・クリエーション(共創)の基盤として育ち、イノベーションの実現にも強い力を発揮することを期待しています。

それはまさに新しい資本主義の核となるものと言えます。

事業そのものが社会貢献である意義

このスライドは丸和ソーシャルビジネスの範囲を表したものです。

そこには、事業目的を社会貢献であることを明確に表明し、その事業継続の必須要件として利潤を位置づける営利法人を含めています。これらの営利法人では、ステークホルダーを企業経営に必要な要素ではなく企業の構成要素とみなすことでしょう。

人間は自己の欲望のためには熱心に働いても社会のために働くことなどあり得ない、という意見は根強いものがあります。その意見を尊重し、スライドでは非ソーシャルビジネス営利企業も図示しました。

今後の日本社会で、どちらがどの程度の構成比を獲得していくかは、大変興味深いものがあります。ただ、広義ソーシャルビジネス営利企業の構成比が増えるとすれば、それは世界の中で先ずは日本ではないかと思われます。

その姿が日本中に行き渡り多数派の考えとなれば、社会や時代、さらには人生の景色もすっかり変わることでしょう。

「豊かな個人」が「豊かな社会」を育てる

組織や個人が活性化し、豊かになれば、社会も豊かになるはずです。しかし、日本では「豊かな個人」と「豊かな社会」との関係を長く曖昧にしてきました。

豊かな個人である「富裕者」には所有するお金を使って自分が考える豊かな生活を実現し、ついで子孫への必要十分な相続に加え、寄付やソーシャルビジネス投資による豊かな社会実現のための具体的行動が期待されています。

その行動を見た人々は、自らが漠然と望んでいた豊かな生活、豊かな人生のイメージを具体化させ、自分の夢と希望を実現する意欲を持ち、実際に行動を始めることでしょう。

ところが「富裕者」というコンセプトには、「金儲け」がうまい人や、お金をたくさん所有する「金持ち」はあっても、豊かな個人・豊かな社会実現のための「金使い」の名人といったニュアンスはまったくありません。

富裕者の生活や行動を見て、うらやましいと思う気持ちは社会を活性化するエネルギーの一つです。しかし、日本の社会閉塞状況の一因は、富裕層の振る舞いが社会の活性化につながらないことにもあるのではないでしょうか。

日本で振り込め詐欺が一向になくならない原因はいろいろと考えられますが、被害者の具体的欲望や希望とは結びつかない、すなわち使い道のないお金が奪われたため、深刻な社会問題になりにくいとの指摘も一理あると思えます。

「リッシュ・オブリージュ」が日本の未来を明るくする

日本でも「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」というフランス語がしばしば引用されるようになりました。「nobles(貴族)」と「obliger(義務を負わせる)」を合成した言葉で、財力、権力、社会的地位の保持には責任が伴うということを指しています。

それは「高い社会的地位には義務が伴う、社会の模範となるように振る舞うべき」との社会的義務感、責任感や自発的社会貢献行動を促す価値観として19世紀以降のヨーロッパ中に広まりました。

私たちはそれに習って「リッシュ・オブリージュ(riche oblige)」という言葉を創ってみました。

リッシュ(riche)は英語のリッチ(rich)です。富裕者はお金を持っているということだけで社会的義務や責任を負うという意味の言葉です。

日本の個人資産は2,000兆円を超えています。富裕者はあの世へ行く前に所有する富をさらに増やす方策や行動に心を奪われることなく、自らが稼いだ富の模範となる「金使い」道を考え、実行することこそ現在の日本で最も大切なリッシュ・オブリージュ行動ではないでしょうか。

リッシュ・オブリージュというフランス語が日本社会の常識となれば、本家のフランスやヨーロッパも驚き、きっと日本を見直すことでしょう。

言うまでもなく、ソーシャルビジネスコンセプトは丸和育志会理念からも重要です。

ソーシャルビジネスが清貧思想の枠組みに取り込まれ運営資金が小さくなれば、社会に対するインパクトも当然小さくなります。

「丸和ソーシャルビジネス賞」への応募を考える皆さまや、すでに受賞された皆さまは社会に役立つ事業の推進に従事しているという満足感、充実感のもと、各人の志にふさわしい事業規模への拡大とさらに豊かな社会の実現を目指し、遠慮することなくしっかりお金を稼いでいただきたいと思います。

丸和育志会は一貫した理念「志と富のバランス」と行動指針「自分で考え・仲間をつくり・実践する」のもと、今後も公益目的事業を推進していく所存です。


事業方針

丸和育志会の「自己開発チャレンジ奨学金」の事業方針についてご紹介します


受賞者一覧

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