【ELPASO会員コラム37-2】松下幸之助が激賞した一番素直な人は誰か?

2024.12.27
松下政経塾 顧問
金子一也

「松下幸之助塾長、ご存知の方で、誰が一番素直でしたか?」「秀吉が一番やな。」
「秀吉が草履取りの時の話を知ってるか? 下足番は身分の低い人の仕事で、退屈な仕事や。」 そのつまらないような仕事を素直に受け入れて工夫を加え「主君のために、ふところに草履を入れてあたためたわな。」 
馬に乗った信長は、秀吉の担当している馬が調子の良いことに気付く。「秀吉は名馬飼いや。馬番になったら、自分の給料から馬の喜ぶニンジンを買って与えたわな。」 松下塾主にも似た経験がある。丁稚を始めた頃、子守をしたら子供が泣き止まない。それで給金からなけなしのお金をはたいて饅頭を子供に与えたら泣き止んだ。「どうしたら人が喜んでいただくか常に考えやなあかんな。人情の機微がわかれば、天下でも獲れる。」

「秀吉は一番素直やな。敵方の軍師の竹中半兵衛にも、誠心誠意、頭下げて味方につけたわな。熱意があれば、人に頭を下げることなど苦にもならんわな。」
竹中半兵衛が参謀になって秀吉は大仕事をやり遂げていく。
「信長は仕えにくい上司やな。光秀はきっと信長の悪いところばかりが目について謀反を起こすことになった。しかし秀吉は信長の良いところだけを見て仕えたと思う。」人は欠点や短所はすぐに見える。しかし、長所や良いところを見つけ出すことが必要だ。
本能寺の変で光秀は信長に謀反を起こした。普通なら、逃げたり体制を整えるのに時間を稼ぐ。しかし「秀吉は己の勝ち負けを考えずにすぐに戻って光秀と戦った。素直だったから、己の損得を超えたのや。」それが成功の秘訣というのだ。

松下政経塾で松下幸之助塾主は、集約すると塾生に二つの点を塾生に強く求めています。一つは「国家百年の計」を年に一回は発表すること。そして販売実習です。「小売屋さんがどんなつらい思いで仕事をしているか掴んでもらう。お金を儲けることや人を使うことはこんなにも難しいことで、こんなにも苦労が多いのかをつかんでほしい。」それには秀吉を参考にせよというのです。
「素直」なリーダーが、今、求められています。