コラム
【ELPASO会員コラム39-3】校長室から思いを馳せる③
2025年7月25日
事務局
2025.7.25
東京都立西高等学校長 土方 賢作
西高校には多種多様な部活動があります。
運動部20部、文化部20部、特別部2部、同好会5団体、その他に各種サークルがあり、全て合わせると60近くもの団体が存在しているのです。
今年度の生徒の部活動等加入率は197%、この数値の意味するところは、多くの生徒が複数の部活動を掛け持ちしているということです。
西高は、生徒たちが自分の好きなことやりたいことをとことん究め、それぞれが活躍できる場所がある学校です。
特別部の1つが新聞部です。
新聞部が発行している学生新聞『學苑』は、「自主自律」の校風や生徒自治の精神を表現するもので、ユニークな視点と合わせて西高生の文化度の高さを示すものと思っています。
校長室にも届けられる新聞を毎回楽しく読んでいます。最新号の記事の一部を紹介します。
「前期生徒会選挙を振り返る」というタイトルの記事です。
~今回の立会演説会を総括するにあたり、キーワードはやはり「自由」と「生徒自治」だろう。事前質問では、これらの言葉について前会長の〇〇さんから質問があり、1年生の立候補者5名がそれぞれの思いを語った。
●●さんはこの質問に対し、社会集団の一員として、自由と責任を併せ持つ大人になるための準備期間が西高生活だと答え、生徒自治の一助になりたいと唱えた。△△さんは西高の自由について、生徒一人ひとりが主体的に本気で打ち込める環境が西特有の自由の伝統へつながっていると質疑応答で述べた。▲▲さんは自由にはリスクがあるとして、責任を負えるものか確認すべきだと回答した。□□さんは意見と誹謗中傷を例に挙げ、人々が自由に意見するということを理解した上で責任を持って意見を発することが、自由な環境が許される必須条件だと唱えた。また、生徒自治は学校全体の雰囲気として、マナーを見失ってしまわないように生徒それぞれが意見を持っていくことだと述べた。
抽象的な問いに対し、三者三様の切り口によって多様な見解が示された。今回の立会演説会こそが自由を表現し、生徒自治を象徴している場といえよう。~
次に、毎年夏休みに開催される学校見学会に参加した中学生向けに配布される『學苑 受験生応
援号』の1面トップ記事「来たれ西高~真の多様性」の一部を紹介します。
~シンプルイズベスト、という言葉がある。校内を回っているとき、諸君は、やや殺風景な空間を目にするだろう。確かに、内装が特別おしゃれというわけではない。2個もある庭や、その他、一見広すぎる空間を見直せば、新たに一つくらい施設が作れるかもしれない。だが、裏を返せば、特定の用途に限られていない空間だからこそ、アイデア次第で多様な使い方ができるのではないだろうか。遊具がない公園でこそ様々な遊びができるように、これらの空間はある種の多機能性を持つ。一見、無機質な空間が西高の多様性に大きく貢献している。~
学校新聞『學苑』を読みながら、生徒たちのもつ表現力、クリエイティブな感覚、成人としての真っ当な価値観、若者らしい理想を追い求める姿勢などに、いつも感服しています。
予測困難な時代をたくましく生き抜き、新たな課題に果敢に挑戦していく生徒たちの今後が楽しみです。