コラム
【ELPASO会員コラム37-3】格調高いアメリカ大統領の就任演説はいずこへ
2025年1月24日
事務局
2025.1.24
松下政経塾 顧問
金子一也
松下幸之助が「素直」で一番に激賞した人物は、豊臣秀吉ということを前回お伝えしました。その秀吉を超える人物がいます。
「松下幸之助発言集」全45巻で松下幸之助塾主が発言された人物は、第2位の豊臣秀吉の27回を上回り、第1位はケネディで58回であった。これは最晩年の松下政経塾に残されたテープでも同じ結果で、第2位が豊臣秀吉の45回に対して第1位はケネディの60回 であった。
塾主は日本的な日本人である。ケネディが一番発せられた人物の結果 とは、正直、意外であり、違和感があった。
なぜ、こんなに松下塾主はケネディに傾倒されたのか。
ケネディは、有名な大統領就任演説の最後(以下)に、国民に向かって「国家に対して何をしてくれるかを望むべきではない。国家に対して何をなしうるか問うて欲しい」と語りかけた。(大統領就任演説 1961年1月20日)
松下塾主は、このリーダーの姿勢にいたく感銘されたのである。「会社でも、団体でも、国会でも、トップ一人の力でどうにでもなるわけや。信念を得たら、ダイレクトに国民に指示していく。それがトップの意思決定や。」「トップが替わっただけで変わってくるわけや。すべてはトップの考え方次第やな。それによって、つぶれた会社でも起こしてくるし、盛んな会社でもつぶれていく。トップの責任が一番大事なものや。トップの見識や識見というものが非常に大事や。」
松下塾主から見ると「それに比べて、最近の日本の政治は国民に甘えている、あるいは有権者に甘えている。国家経営の理念が無い。」
「今の日本の政治は、物々交換みたいなことをやっとる。」「道をつくる」「補助金をつける」で利権と懇願で票を集めている。「それが政治の堕落の第一歩」と利益誘導選挙を正そうという。国家のために目先の利益で有権者を甘えさせる政治家ではなく、国家のために国家百年の計で不利益も説得できるような研究をして欲しい。「それが政経塾の使命や。」
松下政経塾の設立記者会見で、塾主は、ケネディみたいな国家経営者を松下政経塾で最短でつくる。そのために塾生には「倒れかかっている中小の会社を再建させる」研修を繰り返すことで、国家を担えるか、または企業の経営を担える塾生をいっぱいつくると、記者の質問に答えた。
「政治の名人をつくりたい」。天下一人を以て興る。