丸和育志会とは
活動総括と未来への想い
〜動画:丸和育志会50周年記念大会(2025年11月24日)スピーチより〜
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皆さま、本日はご多忙の中、丸和育志会50周年記念大会にご参加いただきまことにありがとうございます。最初に、これまでの活動総括と未来への想いについて述べさせていただきます。
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1975年、篤志家髙𣘺福造氏が「財団法人丸和育英会」を創設されました。奨学金は就職後に返還、が常識だった時代に、返還義務のない給付型奨学金を一貫して継続されたことは、創設者の想いの強さを感じます。その育英事業を理事長として実際に推進されたのは、福造氏の甥で現在は丸和育志会名誉理事長の髙橋祐直さんでした。
2008年、明治以降初めて、育英事業を含めた公益法人の社会的位置づけを明確化した法律が施行され、公益法人はすべてゼロからの出直しとなりました。その背景には、人口減少や日本の経済成長鈍化傾向下では政府・自治体が国民生活や社会の仕組を維持することは困難という認識があります。
一方、民間側にはこの機に事業の継続を辞退する法人も多く、具体的には長く続く低金利による構造的収益不足財団法人、行政庁への忖度なしに自由な事業展開を希望する法人、創業時の社会状況との違いから解散を検討中の法人等です。
その結果、公益法人は25千法人から9千法人へと整理されました。現在は法人数9.7千、事業費年間6兆円、職員数30万人、総資産30兆円を有しており、政府は、民間公益法人がもっと公的役割を担い、新しい資本主義を牽引することを望んでいます。
2012年、新たな法の下で、「公益財団法人丸和育志会」は内閣府に移行認定されました。
低金利下で構造的収益不足財団法人であった丸和育英会からの移管は、“今後資金・人的支援は一切なし” 条件での全面移管でした。つまり丸和育志会は、困難な状況時に助けてくれる親組織のない独立系財団法人として再スタートした訳です。しかし、そのおかげで、自己責任で経営する覚悟さえあれば、法の範囲内でどんな公益目的事業をやろうと自由の身となりました。
全面移管とはいえ創設者のマインドは重要です。
これは、今年9月髙橋祐直さんにお会いした際、丸和育志会13年間の活動には満足と言われた記念写真です。13年前に言われたことは「法の趣旨に則りすべて移管します。ただし、大正時代の祖父の想いが残る『丸和』という名前は残してほしい」でした。『育志会』の方は文字通り『志』を育て、大志を実現する会をつくろうという想いから名付けましたので丸和育志会となった次第です。
2013年には、「ソーシャルビジネス支援事業」を追加申請し認定されたため、2つの事業を行う公益財団法人となり現在に至っています。同年、社会課題の把握と起業アイデア及び経営者の人脈形成を目的として、月例ソーシャルビジネス研究会を始めました。今年度からは本荘理事の協力を得て、先月第125回を実施したところです。第1回は2013年6月ですが、その前月にクラウドファンディング事業に逸早く取り組み成功されていた小松真実さんを講師にキックオフ研究会を開催しました。それをHPでは第0回研究会と表示しています。今後とも、研究会への参加をよろしくお願いします。
2つの事業のスタート時点での最も大きな課題は、言うまでもなく低金利下での事業推進に必要な資金確保です。そこで基金運用ポートフォリオの思い切ったリフォームを数年に亘って実行し、中期的活動を支える財務基盤を確立しました。誰にも頼れない独立系財団法人だったからこそ、困難を乗り切ることができたものと考えています。
2019年には「実践知シンポジウム」を開催しました。ビジネスはやってみなければ分からないことの連続です。ロジカル思考だけでは望む結果は到底得られず、直感や運をも含めた全人格的行動が求められます。その上、評価は結果だけですから、経営者は自らの成功・失敗経験を経営者自身が自分のスタイルで纏め上げて実践知化することが大切です。起業家を目指す人には、この点を是非理解してほしい、との想いから開催したシンポジウムでした。実践知については今後も取り組みたいテーマです。
2022年には「チャレンジ奨学金」を新たに導入しました。成績優秀且つ経済的困窮という奨学金の伝統的枠組みを修正し、与えられた知識の習得ではなく、社会に役立つ仕事をしたいという想いを基に自ら学ぶ意欲の強い学生へと重心を移したわけです。
「チャレンジ奨学金」からは、個人が生涯持ち続ける志・人生観の芽が形成される高校時代の位置づけが議論になります。そこで文科省が2022年に始めた探究教育に着目してSB賞受賞者北村さんと検討を始め、京都の立命館宇治中高一貫校、能登の県立七尾高校、東京の都立西高の3校を指定校候補としてトライすることにしました。本日は3校の校長先生、越智先生、樋上先生、土方先生にもご出席頂いています。将来は初等教育との関係も出てくるものと予想しています。
以上、様々な活動をしてまいりましたが、本日50周年記念大会を迎えるに至りました。これまでに、奨学生709名、SB賞受賞者60名に対し、568百万円の資金を提供してきたことになります。その中には、2012年丸和育志会スタート後に、寄付していただいた総額15百万円の寄付金が含まれています。HPに記載しております寄付支援者51名の皆様、まことにありがとうございました。
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このスライドの赤字部分は、丸和育志会の活動の内、新しい課題への挑戦実績です。2025年度は、HPのリフォームと新ロゴの制定、探究教育支援は先ず立命館宇治高で開始、さらに認知科学がご専門の信州大菊池聡先生にご協力いただいている共創ツール開発プロジェクトも重点プロジェクトであり、最後の経営者支援は会員の好奇心や発想・共創・構想力強化に役立つ場の確保・拡大を検討しています。
これら新しい課題への挑戦実績に基づく「チャレンジ精神」とその丸和育志会組織遺伝子組み込みを活動総括としたいと思います。
ただし、その遺伝子を発現させるには、組織運営上の知恵が必要です。
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今年4月、公益法人の基本法規である認定法が改正され、法の目的も「公益の増進及び活力ある社会の実現」と明記されました。日本社会の弱点の一つに、細部第一目的第二すなわち肝心の目的達成評価は二の次で、詳細ルール順守に大きなエネルギーを注ぎ優先順位が逆転しがちな文化があります。しかし、文化は簡単には変えられず、公益法人である丸和育志会はその文化を意識して活動せざるを得ません。
そこで、まったく自由な個人の集まりである「ELPASO会」が積極的役割を担うことが期待されます。会員は、奨学生、ソーシャルビジネス賞受賞者とその候補者、SB賞に拘らず現在活躍中の経営者、さらには知的支援者と経済的支援者です。これらの方々の協力により構築したPlatformが会員の行動を後押しすることになれば事業成功者が輩出し、丸和育志会も大きなパワーを持つことになります。ただ、SB賞受賞者60名の中で驚く程大きな事業成功者はまだ見当たりません。
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その原因には2つの思い込みが考えられます。1つは、営利事業は利潤追求、ソーシャルビジネスは社会課題解決で非営利と思い込めば、SB起業家の事業拡大意欲は弱まります。SBと非営利とは関係がなく、利のために不正行為をしない営利企業は社会貢献企業であり、丸和SB賞の対象です。事業の社会貢献性に自信があれば、売上・利益を増やし、経営者・社員・関係者の生活を豊かにすることは社会が望むことです。お金なしには、社会貢献も何もできません。『ソーシャルビジネス』を、」清く貧しい、を是とする清貧思想にシンパシーある言葉として理解されないよう強く望みます。
一方、受賞者の中には支援金百万円を受け取ると以後没交渉、という方が一定数おられます。その状態をシメシメとほくそ笑み、成功体験として記憶すると、以後その行為を繰り返すため誰も寄りつかない貧しい人生を送るつまり受賞経験が人生の大損経験になることがわからないのかと言いたい所ですが、伝えたい相手はこの場にはおられませんので、本日の受賞者6名に向かって話しております。
以上が、「志か富か」ではなく「志と富のバランス」を財団理念のキーワードとした理由です。「志か富か」や昔の「仕事か家庭か」、コロナ期の「命か経済か」はいずれもバランス問題を2者択一問題にすり替える愚かな設問です。2項対立軸に安易に絡め捕られないようご注意下さい。
大成功者輩出を邪魔する2つ目は、今年の実績から来年を、来年から再来年を論理展開し、それをそのまま目標にして疑わない思い込みです。どんなビジネスも具体的でなければ成り立たないため、最初は当然小規模ですが、問題は5年後10年後の絵をどう描くかです。現状から未来を描く思考からは、ワクワクする面白い未来のイメージは到底描けず〖やるべき仕事〗にすべてが収斂してしまいます。発想・共創・構想Platformを通じて自分の夢を明確なイメージとして描き、その目標達成を目指して行動すれば〖やるべき仕事〗が〖やりたい仕事〗に変容し、大成功者も生まれるに違いありません。
営利企業の世界ではユニコーン企業という言葉が、よく使われるようになりました。設立から10年以内で評価額が10億ドル(1,500億円)以上の非上場ベンチャー企業のことです。丸和育志会から成功者が輩出すれば、直接金額に加え、社会貢献要素をも取り入れたユニコーンSB企業コンセプトを丸和育志会から、社会に提案してみたいものです。
丸和育志会は起業家支援を惜しみませんが、大成功した場合は『出世払』『出世寄付』も忘れないよう期待しています。「橋本先生に、今に1億円寄付します」と言ってくれたのは柳生さんだけです。話1/10としても1千万円の寄付があるかもしれません。
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このスライドの左上の発想と下の実現は、何と言っても意欲ある個人次第ですが「共創」には知力・人間力を高め成長しようとする仲間が必須であり、他人の知恵の利用以外関心のない自己中人間には参加資格がありません。
次の「構想」の中の目標表現は本日のテーマの背景でもあり、特に強調したい項目です。抽象的言語表現の『志』は単なる夢でしかなく、やってみなければ分からないビジネスの本質から経営者の目をそらす要因にもなりがちです。ところがその夢が本人が納得する明確なイメージ表現できた途端、目標実現へのエネルギーと勇気が湧き起こり具体的行動が始まります。その目標こそ『大志』と呼ぶにふさわしいものではないでしょうか。『目標を明確なイメージ表現して自分の大志を掴み、勇気ある行動により大志を実現しよう!』が、最終的メッセージです。
そのイメージ化支援として、言葉・数字・表や図に加え、絵・サウンド・音楽・動画・パフォーマンス等、人間の脳と5感を刺激するあらゆる要素を取り込む生成AIの進歩が期待されます。AIには自己中価値観も感情もない訳ですから仲間とみなすのが適切です。懇親会のAIアトラクション企画を鈴木・坂根両理事にお願いしましたので、気楽にお付き合い下さい。
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本日の記念大会テーマは「ソーシャルビジネスとアートの共創」としました。偏差値教育や実社会経験を通じ、一定のロジカルな思考力教育は行われてきましたが、豊かなイメージ形成力は学習機会もないまま年齢を重ねています。自由に好きなことをすることが社会から容認されている職業であるアーティストとの共創が活力ある社会実現のキーワードであると考え、基調講演は、武蔵野美術大学前学長・現理事長の長澤忠徳先生にお願いした次第です。
年次総会は参加者80名規模で毎年開催しており、これは昨年の総会写真です。50周年の今年は今迄よりは規模を大きくとは誰もが考えることですが、それを論理的に積み上げれば、過去データの分析から90名、或いはキリの良い100名記念大会になったことでしょう。内容が論理的に積み上げてあれば、反論も簡単にはできません。
そこで、50周年ならいつもの2倍160名はどうか、2倍の根拠はなくても50周年記念大会の目的にふさわしく実現できれば面白い、それでいこうと決め、160名が集える私学会館との契約を先に決めてしまいました。ただ勝手に決めたと非難されるいわれはありません。なぜなら出席者数は166名で目標を達成したからです。この経験から得た実践知は、「夢や志の目標設定では論理的思考を軽視し、目標実現の具体策立案では重視する」と考えています。
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これが最後のスライドです。以上の活動総括と未来への想いをまとめたものが、HPにも記載の理念・ビジョン・ミッション・行動指針であり、丸和育志会を支えるELPASO会のアルファベット6つのスローガンです。
この内ミッションは、公益法人のイノベーションを意識して表現したものです。ピラミッド構造が好きな日本では、大企業・中小企業も上下関係表現が社会の隅々にまで浸透し、中小企業の独自の役割を認めず社会沈滞の一因になっています。イノベーションこそ中小組織の仕事であることから、公益観点から必要な場合は、先駆的行動をいとわないことを宣言したものです。各経営者が自分自身の大志の実現に向けて行動すれば、小規模・中規模・大規模の多様な事業が生まれることでしょう。それが活性化された多様性社会の本来の姿です。『大志』は他人と比較するものではなく、各人特有のものであることも肯けます。
未来への想いを一言で表現すれば、「青年よ、大志を実現しよう!」となります。青年とは暦年令ではなく、「青年の心を持つ老若男女」という意味ですから、青年かどうかはご自分でお決め下さい。
ちなみに私は青年です。
丸和育志会は、大志を持ち常に知力・人間力の向上を図る青年と共に「失われた30年から抜け出す道」を歩むこと、それは丸和育志会が存在意義のある公益法人に成長する道でもある、と考えております。
どうも有難うございました。
以上
(2025年11月24日)